ビカクシダはシダ植物で、種子ではなく胞子を培養することで増やすことが可能な植物です。少々難易度が高く、時間がかかってしまいますが、少量の胞子からたくさんのビカクシダを作ることができます。
この記事では、初心者でも胞子培養を行うための方法をお教えします。
準備するもの一覧
準備するのは以下の4つです。
- 胞子
- タッパー(密閉容器)
- 培養土(ジフィーセブンがおすすめ)
- スプレー

また、茶漉しがあると胞子を均一に撒きやすくなるのと、殺菌剤があるとカビや悪臭の対策ができます。

いずれも必須ではありませんが、殺菌剤はあった方が良いので、おすすめします。
殺菌処理と培地の準備
密閉容器で培養するため、雑菌が入らないように殺菌します。胞子培養で最もよくあるトラブルはカビや腐敗なので、ここでしっかりと殺菌しておくことが重要です。
まずは石鹸で手をしっかりと洗います。
次に、タッパーに沸騰したお湯をかけて殺菌消毒します。可能であればアルコール消毒も併せて行うと、より安心して胞子培養ができます。
消毒したタッパーに土を入れ、水をかけて土を湿らせます。
※熱湯を使用することで、殺菌できると言われておりますが、熱湯をかけた場合でもカビが発生することが多々あります。そのため、水でも熱湯でもどちらでも構いません。

次は余分な水を捨てます。底に水が溜まった状態だと腐敗の原因になるため、しっかりと水を切りましょう。
水を切った後は培地の表面がデコボコしていることが多いので、胞子を均一に撒けるよう、表面を平らにならしておきます。

※ジフィーセブンなどの不織布で包まれた培養土をそのまま使用する場合は、平らにならさずにそのまま使っても問題ありません。
胞子を撒く作業
胞子は重なりすぎないよう、均等に撒きましょう。
胞子散布後↓

胞子が重なった状態になると、以下のような問題が発生することがあります。
- カビが生えやすくなる
- 腐敗しやすくなる
- 発芽率が低下する
このような問題を回避するために、茶漉しを使うと、胞子を満遍なく均一に撒くことができます。

リドレイなどの胞子はワタ状のため茶漉しが有効ですが、一方でグランデなど砂状の胞子を撒く場合は、茶漉しに入れた直後にほとんどが落ちてしまうため、必ずしも適しているわけではありません。
※グランデの胞子↑
茶漉しほど撒きやすいわけではありませんが、当店では胞子をご購入いただいたお客様に薬包紙を同封してお送りしておりますので、ぜひご利用ください。
十分に活用できると思います。
霧吹きで馴染ませる
胞子を撒いたら霧吹きで水を散布し、胞子を土に馴染ませます。

この際に霧吹きにベンレート(殺菌剤)を混ぜておくと、カビの発生を抑制できます。
胞子を撒いてから1週間ほどは、白や緑のカビが発生したり、強い腐敗臭が生じることがあります。あらかじめ殺菌剤を散布しておくことで、こうしたトラブルを防ぎやすくなります。
ベンレートを散布してもカビが発生することもありますが、散布した方が明らかに減ります。散布してもカビが発生することもありますが、そのような場合には追加でベンレートを散布することで、ほとんどの場合、カビや悪臭の発生を抑えることが可能です。
ベンレートを使用する場合は、水で2,000倍に希釈した液をスプレー容器に入れ、培養土の表面全体に散布します。大量に散布するのではなく、表面全体に行き渡る程度で十分です。
最後に蓋を閉じて密閉状態にすれば胞子を撒く作業は完成です。

水やりについて
密閉性の高いタッパーを使用していれば、追加の水やりは基本的に不要です。
ただし、密閉性が低い場合は土の表面が乾かないよう、土の表面が渇きそうな場合は適宜霧吹きで水分を足してください。
なお、タッパーを頻繁に開けると雑菌が入りやすくなります。また、水の与えすぎは腐敗・悪臭の原因になるため、乾かさない程度に適切な量を与えることを意識してください。
管理する環境
胞子を撒いた後は直射日光を避け、20〜25℃前後の明るい日陰で管理します。
植物栽培用のLEDライトがあるとより効果的ですが、なければ室内の明るい日陰でも問題ありません。
なお、15℃を下回ると発芽率が低下するため、寒い時期は必ず暖かい場所に置いてください。
前葉体
品種や時期によって異なりますが、2週間〜3ヶ月ほどで前葉体と呼ばれる緑色の苔のようなものが発生します。

最初は小さな粒のような苔ですが、徐々に茶色の糸が増え、ハート型へと変化します。

スペーシング
前葉体が増えてきたら、スペーシングを行いましょう。
※後述する胞子体に成長してからでもOKです。
スペーシングとは、密集した前葉体や胞子体を別のタッパーなどに間隔を開けて植え替える作業です。密集しすぎると成長スペースが限られてしまうため、適度に間隔を設けることでより健康に成長させることができます。
新しくタッパーを用意し、密集している箇所から前葉体をピンセット等で取り出し、新しいタッパーに間隔をあけて植えます。
こうすることで、成長スペースを確保することができます。

また、スペーシングを行う際に、肥料を与えることで、より成長させることも可能です。

胞子体
前葉体には精子と卵をつくるそれぞれの器官があり、前葉体の表面の水分を通じて精子が移動し、卵に達することで受精が起こります。
受精後は前葉体の上から胞子体が発生し、これが育って私たちのよく知るビカクシダになります。
前葉体が育ってきたら、週1回程度の頻度で霧吹きで水を与え、受精しやすい環境を整えましょう。

鉢上げ・板付
大きくなった胞子体は、小さいながらも立派なビカクシダです。
密閉容器に入れたまま育て続けても良いですし、ある程度の大きさになったら小さなポットに植え替えて成長を促し、

その後板に付ければ、立派な板付ビカクシダの完成です。
※当然、鉢のまま育てても問題ありません。

最後に
胞子培養は難しく思われがちですが、慣れてしまえばそれほど難しいものではありません。
撒いてからは基本的に待つ時間が大半を占め、よく知るビカクシダの姿になるまでには最低でも1年はかかります。時間はかかりますが、自分で撒いた胞子から育てたビカクシダが形になっていくのは、大きな達成感があります。
少し長めの時間軸で取り組む必要がありますが、きっと面白い体験になるはずなので、ぜひチャレンジしてみてください。
当店では主にビカクシダの原種と呼ばれるクラシックな品種を扱っております。ぜひ商品ページもご覧ください。
