こんにちは、店主の大久保です。
「2050年、今飲んでいるアラビカ種のコーヒーが飲めなくなるかもしれない」 そんな「コーヒー2050年問題」が現実味を帯びる中、改めて注目を集めているのが、流通量わずか1%未満の「リベリカ種」です。
この記事では、次のアラビカ種と言われているリベリカ種について解説します。
リベリカ種とは

※樹齢10年以上のリベリカ種のコーヒーの木
リベリカ種は西アフリカのリベリア共和国が原産地と言われている種です。アラビカ種、カネフォラ種(ロブスタ)と並び「コーヒーの三大原種」の一つに数えられますが、世界の流通量はわずか1%程度です。
そのため「幻のコーヒー」とも称されます。
現在はマレーシアやフィリピン、ウガンダなどで栽培されていますが、多くは生産国内で消費されます。マレーシアの「エレファントコーヒー」やフィリピンの「バラココーヒー」といったブランド名で、地域に根付いた文化を形成しています。
なぜ幻のコーヒーなのか?
リベリカ種の流通量が世界のわずか1%にとどまり、「幻」とされる背景には、主に以下の3つの要因があります。
生産効率の低さ
アラビカ種の収穫サイクル(約6〜9ヶ月)に比べて、リベリカ種は開花から収穫まで約1年という長い時間が必要です。また、豆の大きさが均一でないため選別が難しく、商業的な大量生産には向きにくいという面もあります。

栽培・管理の物理的ハードル
リベリカ種の樹高は最大20mにも達するため、剪定などのメンテナンスや収穫作業に多大な労力がかかります。「管理の難しさ」が、多くの農園で栽培を避ける要因となっています。
他家受粉
自花受粉ができるアラビカ種とは異なり、リベリカ種は「他家受粉」という特性を持っています。実をつけるためには最低2本のペアが必要となるため、アラビカ種に比べ、栽培のハードルが高くなっています。
アラビカ・ロブスタとの違い
味わいの特徴
リベリカ種は、独特の「強烈な苦味」と「厚みのある甘味」が特徴です。果肉が厚いため、熟成した実からはジャックフルーツのような味と香りが感じられることもあります。
| 酸味 | 甘味 | 苦味 | 味わいの表現 | |
| アラビカ | ◯ |
◯ |
△ | フルーティー、フローラル |
| カネフォラ(ロブスタ) | × |
△ |
◯ |
強い苦味、穀物のような香り |
| リベリカ |
△ |
◯ |
◯ |
強烈な苦味、ジャックフルーツ |
※インドネシアの農園からの情報を元に作成
植物としての特徴

※左がリベリカ種で右がアラビカ種。
リベリカは最大20mに達することもある、三大原種の中で最も大型の種です。葉の大きさもアラビカ種とは比較にならないほど巨大で、大きく育つため、インパクトのある観葉植物としても魅力的です。
| 葉の大きさ | 自然環境での樹高(m) | |
| アラビカ | 小 | 2 ~ 10 |
| ロブスタ | 中 | 2 ~ 10 |
| リベリカ | 大 | 10 ~ 20 |
※インドネシアの農園からの情報を元に作成
生産国では適切に樹高を調整しており2 ~ 3m程に剪定しているため、20mに達することはありませんが、幹と枝葉はアラビカとは比べ物にならず、植え付けてから10年以上が経過している木の幹の直径は20 ~ 30cm以上になります。
また、幹の表面がデコボコしていて、歪な形であることも特徴だそうです。
栽培環境と耐性
リベリカは、アラビカ種が苦手とする低地での高温栽培が可能です。
| 標高(m) | 気温(℃) | |
| アラビカ | 600 ~ | 15 ~ 25 |
| カネフォラ(ロブスタ) | 0 ~ | 25 ~ 30 |
| リベリカ | 0 ~ | 25 ~ 30 |
※インドネシアの農園からの情報を元に作成

また、根が非常に強靭であるため、土の中に岩が多い場所など、他の種が根付くのが難しい厳しい環境でも育つことができます。この「厳しい環境でも育つ力」も、リベリカ種が救世主として注目される大きな理由の一つです。
次はリベリカ種(かもしれない)
現在、世界で広く流通しているアラビカ種は、高気温や病気に弱く、2050年までに栽培地が半減すると予測されていています。
アラビカ種と比べると、リベリカ種は高温環境に適応しやすく、かつてコーヒー産業に壊滅的な打撃を与えた「さび病」に対しても強い耐性を持つことが知られています。
また、味わいについてもアラビカ種ほどのポテンシャルはないと考えられていますが、適切な肥料を与え、リベリカに合う環境を提供すれば、アラビカ種と同じようにフルーティーで酸味のあるとても美味しいコーヒーの生産が可能です。
実際に最高品質のリベリカ種を生産農園からサンプルとしていただいたので飲んでみましたが、アラビカと比べて味わいが大きく劣るという感想は全くありませんでした。

※最高品質であればアラビカ種と遜色ないレベルです。逆に言えば、相当努力しないとスペシャルティ品質に達することが難しいのだと思います。
※サンプルはリベリカの原種ではなく、インドネシア栽培品種のもの。
地球温暖化が進む現代において、アラビカ種の次に普及するのはリベリカ種かもしれません。
まとめ
日本国内ではまだ認知度の低いリベリカ種ですが、大きく育つ観葉植物としての面白さと、地球温暖化への適応策としての将来性、その両面を併せ持っています。
OKB Plantsでは、国内でも希少なリベリカ種の新鮮な種子や苗を取り扱っていますので、興味がある方はぜひリベリカの栽培を体験してみてください。
